柴田雅子さん(S25年卒)著「随想 優しい芭蕉 ―田一枚植えで立ち去る柳かな―」

岩波ブックセンターから平成25年2月1日発刊

20130311

 

 

 

 

随想 優しい芭蕉 ―田一枚植えで立ち去る柳かな―

随想 優しい芭蕉 
―田一枚植えで立ち去る柳かな―
の表紙

柴田雅子さん 

柴田雅子さん

  柴田雅子さん(S25年卒)の挑戦的な著書「随想 優しい芭蕉 ―田一枚植えで立ち去る柳かな―」(岩波ブックセンター、平成25年2月1日発行)が発刊されました。私は挑戦的という語にふたつの意味を込めましたのでアンダーラインを付しました。ひとつは「80歳の挑戦」、もうひとつは「芭蕉の句に新らしい解釈をするという挑戦」です。

 柴田さんは多くの証拠を提示しながら、これまで「”田一枚植えて立ち去る柳かな”とされてきた芭蕉の句は”田一枚植えで立ち去る柳かな”である」と説得力ある論考を展開されております。柴田さんの渾身の挑戦を皆さんに知っていただくべくここにご紹介させていただきました。

 さて、教育の現場では「教科書を教える」「教科書で教える」が論じられることがあるそうです。「教科書を」と「教科書で」、たった一文字の違いですがその意味するところは大きく変化します。私はホタルに関わっておりますが「ホタルを飛ばす」ではなくて「ホタルも飛ばす」の立場を取っております。「を」と「も」の一文字には実に大きな差があります。柴田さんは「て」と「で」に深くこだわりました。そこから優しい芭蕉の人間性を見事に浮き彫りにしました。

 

 著作の一部を以下に引用いたします。

  「人は晩年の人柄がその人の人間性として評価されていいと思います。(中略)晩年の作『奥の細道』は彼を知る最高の材料です。私は『奥の細道』から俳聖芭蕉のもう一つの顔、人間芭蕉の人柄を・・・」とあります。

 

 東北の復興(復旧だけでない)を願いつつ3・11に著書ご紹介の文を認めさせていただきました。

(柴田先輩が母校ご卒業の翌年に生まれた後輩 井上 務 記)