「先輩に学ぶ」 平成22年7月18日実施

20120718

 キャリア教育の一環として実施されている「先輩に学ぶ」、今回の講師は4名でした。
 遠く静岡からお越しの堀内先輩は母校が男女共学になって初めて入学した男子にして初代男子生徒会長。今回の講師陣では最年長の大先輩でした。 「美人日本画家」としてマスコミに何度も登場されている宮下先輩は日本画家で博士そして大学教員として大活躍中の才媛。 司法書士・行政書士として活躍されている入沢先輩の講義テーマは「法あるところに救済あり」。受講生からは難解でしたが刺激的講義内容との感想でした。 現役理系女子大学院生の大野先輩は自身が高校生の時に「先輩に学ぶ」を受講したという平成19年卒業の若き超音波研究者。
 それぞれの先輩が熱く後輩に語ってくださいました。
これまでは高校3年生になる直前の3月、高校2年生を対象に実施されてきましたが進路選択に寄与するには「もう少し早い時期が望ましいのでは?」とのことで夏休前に実施いたしました。少し暑い7月の教室での先輩たちの熱いお話に刺激を受けた後輩たちからは「夏休みにはオープンキャンパスに行きます」との感想も見られました。後輩たちが感想を綴ったように受講した役員からも感想を寄せていただきましたのでお読み下さい。
 後輩たちの輝く未来のために私達のささやかな取り組みが役立っているに違いないと確信しつつ来年も実施いたします。先輩の皆さん!自薦他薦を問いません「かわいい後輩のために」久し振りに母校に戻り、高校生だった頃を振り返りつつ卒業後の貴重な人生経験を後輩のために語ってみませんか!とのお願いを最後にさせていただき稿を終わります。 
                                                       (「先輩に学ぶ」担当:井上務)
 

 「現役理系大学院生だからこそ語れる話し」
             講師:大野奈津美(H19卒)


大野奈津美さん
の講義風景

 大野さんは現役の理系大学院生、受講生との年齢差が小さかったからでしょうかアットホームな感じで講義が始まりました。
 先ず、南高時代には文化祭実行委員をつとめクラブ活動に集中して頑張っていたので大学受験のことは後回しにしていたと当時を振り、同様の状況にあるかもしれない後輩たちに安心感を与えてくれました。
 その後、理系を選んだ経緯を語りつつ、夏休みを利用して多くの大学のオープンキャンパスを見て回ることで自分の方向が見えてきたことが語られ後輩たちへ心の準備を促す優しい先輩の姿がありました。
 大学生となって小中高で学んだ基礎知識がベースになって新しい研究が出来ることが強調され、日々の勉強に頑張っている後輩達に貴重なエールが送られました。
 厳しい受験勉強に勝利し希望の学部に入学した大野さんは学部4年間の研究をより深め、「社会に役立つ研究をしたい!」と大学院に進学。現在は超音波研究を通じ実社会で役立つ技術確立のため骨密度や骨質検査の基礎研究に携わっており、やがて近い将来にその基礎研究が医療現場などで大きな成果をもたらすに違いないとの夢を語られました。
 次代を担う若手研究者が語る夢は後輩達を大いに刺激してくれたと確信できる講演でした。
                    (報告:五十嵐満里子)

 「美術と文化財
講師日本画家、玉川大学非常勤講師 宮下真理子(H6卒


宮下真理子さんの講義風景

 講師は最近ある週刊誌のグラビアに「美しい日本画家 〜天は二物を与えた〜」 とのタイトルで紹介された東京芸術大学・大学院を卒業した注目の日本画家で、院展はじめ数多くの受賞実績を持ち、毎年個展も開催しています。
 講義はパワーポイントを駆使して、専門分野である「日本画について」と「文化財の保存修復」との2テーマで展開されました。色の着いた鉱石を砕いて粉末にした物が用いられるという日本画絵の具、今では多くがアフガニスタンで採れるそうですが、いくつもの美しい原石を後輩たちのために持参されました。日本画の技法、そして絵の具ひとつにもこだわる姿勢からは永い年月をかけて培われてきた“伝統”を受け継いでゆきたいという熱い気持ちが伝わりました。ご自身が手がけた鎌倉時代の絵巻物の欠損部分を修復する過程を示す画像には強い説得力があり、「なるほど!」と大いに納得させられました。 
 講義は時折、全生徒への質問を交えながら展開。 「文化財とは?」の問いかけに、宝、歴史、貴重、象徴、守るべきもの、美、日本人の心、表現、生き物、記念、伝統、心の食べ物等、受講生からは多岐にわたる反応があり、今後、日本の伝統文化に触れる際、今回の授業がきっと思い出されることでしょう。そして、先人の叡智の結晶である文化財を大切にしなければとの思いが後輩たちの心に刻まれたと確信できる素晴らしい講義でした。
                        (報告:田中ミホ)

 法あるところに救済あり
        司法書士  入沢 修自(H5卒)


入沢 修自さん
の講義風景

 沢山の参考資料を用意し、入沢さんは教室に来てくださいました。在学中は将来、何になりたいかは決まっていなかったが、勉強を着々と積み重ね、ひとつずつクリアーして行かれたそうです。
 司法書士、行政書士の資格を取られて分かったことではありますが、法務省の中の各機関はつながりがあり、法を知ることにより、私たちの生活に深く関係を持っていることを話されました。学生のうちは法務局に用事があって出掛けることはなかった記憶があります。
 だんだんお話が難しくなり、最後に入沢さんが生徒さんに「質問は?」と尋ねられると、「難しくって、どう質問してよいか分からない」という答えが返ってきました。でもその生徒さんの話を聞いて、このお話はまたお願いして、私たち父母の立場から、もう一度詳しくお聞きしたいと思いました。
                    (報告:斎藤美代子)

 私の進路は南多摩高二年生のとき
   ―高校教師への出発点は図書室―

           講師: 講師:堀内正文氏(S27卒)


堀内 正文さんの講義風景
 

 講師の堀内氏は南多摩高校が男女共学校となった時の第一期生。その頃の母校は焦土から立ち上がり、校舎も教育もまさに新制高校としての転換期であり、出発点でもあった。
 堀内氏は二年生で生徒会長、レコード部創設。さらに硬式野球部を創設し、初代部長となった。そして、三多摩地区大会で優勝することができた。女子校としての伝統ある南高の大きなニュースとなった。
 二年生で進路選択を考える時を迎えた。幸いにもすばらしい恩師たちに出会え、選択方向の動機づけとなった。受験秀才でなく、大学名より学部優先主義、自分の性格、自分の価値観を問う等を考えた。そして国文学、民俗学等に専門分野を焦点化し、高校教師を志すことを決めた。
 大学生活ではあえて寮に入った。学友のNHKの山川静夫氏との交流は今も続き、歌舞伎、古典芸能の分野に携わっている。高校国語教師を経て県立高校長となり定年退職し、大学講師、文化協会会長、カウンセラー等を歴任し、現在もスクールカウンセラーを続けている。
 フロンティアとしての苦労もあったと思うが常に前向きに明るく進んでこられた。人は教えることはできないが影響を与えることはできる、名香は消えても香はいつまでも留める、いじめ側は残りにくいが、いじめられた側は心に残る等、多くの言葉が深く心に刻まれた。
 「感謝とゆとりとユーモアを!」と話しを閉じた。
                       (報告者:廣瀬智子)


終了後の記念撮影



中央の石川会長と講師の皆さん


講師を囲んでスタッフと記念撮影