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「知的障害者雇用を成功させる8つのポイント」
(常盤正臣著、2017年12月20日 ぶどう社刊行)
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母校創立100周年記念事業実行委員長であった常盤正臣さん(昭和31年卒)が素晴らしい本を著されました。
著書の題名は
「知的障害者雇用を成功させる8つのポイント」
衝撃だった「あとがき」
著者の常盤大先輩とは100周年記念事業をご縁にもう10年以上のお付き合いをさせていただいて参りました。以前から会話の中に「本を書きます」と語っていらっしゃいましたので1月12日深夜、郵便ポストに常盤先輩からの「書籍」と書かれたレターパックを手にした時は「ついに完成したんだナ」と軽い気持ちで開封させていただきました。明日13日は「あかね会」新年会でお会いするはずだからと思いつつページをめくりました。先ず、にこやかに微笑む常盤さんのお写真に出会いました。「はじめに」を読んだ後に「あとがき」を開きました。その途端、私の眼は「本書を亡き娘に捧ぐ」との活字に釘付けされてしまいました。
「私の娘、成子は、本書の出版を待たずして、平成26(2014)年8月に他界しました。わが家の宝物でした・・・」と重度の障害をお持ちの娘さんを43年間看病し続けて来られた様子がそこに綴られていました。一気に読み進むと「成子ありがとう!本書を成子に捧げます」の文字。その文字の下には一葉の写真が…。娘さんに寄り添う慈愛溢れる表情の常盤お父さんさんがそこにいました。写真が涙で滲んでしまいました。「知らなかった!」10年以上のお付き合いの中で娘さんのことを初めて知った私でした。そして常盤さんがこの本を書かずにはいられなかった深い思いを知りました。
「分野を超えた多くの方々にお読みいただきたい」
著書の帯にある推薦文(相沢保、元・渋谷公共職業安定所所長)にある言葉です。私も強くそう思いました。「試行錯誤の体験談」には障害をお持ちの方々との臨場感あふれる現場の様子が次々に紹介されています。「大パニックの洗礼」「園児に採用された」「70社への就活」…四半世紀を超える常盤さんの悪戦苦闘とそれを突き抜けた後の喜びが次々に紹介されていきます。
超高齢社会を生きる私たちは「最近、人の名前がすぐに出てこない」「膝が痛い」「身長は低くなっているのに血圧は高くなっている」「貯金も大事だが貯筋はもっと大事かも」「ピンピンコロリが理想だけれど今の日本は寝たきりになってネンネンコロリが現実ネ」等と障害者となりつつある危惧を自覚せざるを得ない状況であります。老々介護中の私にも有益な本だと感じました。
「ボランティアとボルケイノ」
著書は「ぶどう社」という出版社から刊行されています。この出版社は“「障害」をテーマとする出版社”と自らを謳っています。「自閉症の人の人間力を育てる」「障害者のリアル×東大生のリアル」「発達障害の子とハッピーに暮らすヒント」等が世に出されていることを常盤さんの本の中に差し込まれていたチラシで知りました。
「恋するようにボランティアを」という本の紹介には「ボランティアの“ボル”は、火山を意味するボルケイノと同じ」とありました。常盤さんの娘さんを思う熱い思いが原点となりマグマが噴き出すようにして出来上がった著書だと確信しつつ同窓の皆様に紹介させていただきました。
(A5判、176頁、本体1800円+税。常盤さん宛に直接注文も可能だと思います)
(昭和44年卆 井上務 記) |
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