昭和25年卒、柴田雅子選「やさしい 芭蕉さん かるた」が出版されました。

20151012

 

 




 「やさしい 芭蕉さん かるた」
(柴田雅子選、岩波ブックセンター(有)信山社より発売)

   

 「やさしい」は「易しい」と「優しい」を含意、俳聖・芭蕉というよりは「優しい芭蕉さん」の40歳から没年の51歳までに詠まれた句から100句を柴田さんが選びました。人柄は晩年にこそ顕われるとの柴田さんの人間観がそうさせました。001番は「馬ぼくゝ我をゑにみる夏野哉」、100句目は「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」となっています。柴田さんの解説文によれば、それぞれの「感性で句の情や景を思い描くといい」との理由から札に絵は入っていません。また、取り札はすべてひらがなで「易しい」(写真をご参照ください)。

 さて、なぜ今「かるた」なのか?
柴田さんは「英語も大事だけれど日本語も大事よネ!」、「スマホの画面で繋がるのは簡単で便利かもしれないけれど“かるた”は人と人を直接結び付けてくれるゲーム、今の時代に必要だと思うワ!」と「かるた」作成の動機を熱く「かたる」のでした。

 ところで「紙片」を英語ではカード、ドイツ語ではカルテ、ア・ラ・カルトというフランス語のカルトは献立表を意味します、なるほど、献立表は「紙片」です。そして、ポルトガル語ではカルタ。ポルトガル語から来た「カルタ」ですが、今ではもうすっかり日本語になっています。

 この「かるた」の完成には「あかね会」がちょっと関わっています。
 それはこんなことから始まりました。
 100周年記念誌「湧水万古」の作成に携わったメンバーは「湧水万古の会」という会を結成し、今も交流が続いています。その「湧水万古の会」が今年の5月に高尾山で行われた際、柴田さんが「かるたを作りたい」と発言、私(井上)が「私の地元(青梅)にカルタを作ったことのある印刷屋さんがありますヨ」と応じ、その社名を伝えると「あら、私が随分昔に出版した本を印刷してくださった印刷会社さんヨ」と話が進んで短日月の間に「やさしい 芭蕉さん かるた」が完成したのでした。

 さて、今年も「第56回 東京名物 神田古本まつり」が開催されますが、柴田さんは10月31日と11月1日にはその会場で「やさしい 芭蕉さん かるた」を販売するために売り子として会場のどこかにいるそうです。「読書の秋」、機会がありましたら会場で柴田さんを探して「かるた」を手にしてみて下さい。古本まつりの詳細は下記を開いてみてください。
  http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html

                (昭和44年卆 井上務 記)